画像引用:IMDb
こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【アンネ・フランクと旅する日記】です。
世界的ベストセラーを新たな視点で描いた、
美しく、悲しく、力強い傑作アニメーション作品です。
この映画はこんな人におススメ!!
●アンネの日記に興味がある人
●美しいアニメーションが観たい人
●戦争の悲劇について考えたい人
●空想の力を感じたい人
タイトル | アンネ・フランクと旅する日記 |
製作国 | ベルギー、フランス、ルクセンブルク、オランダ、イスラエル |
公開日 | 2022年3月11日(日本公開) |
上映時間 | 99分 |
監督 | アリ・フォルマン |
出演 | ルビー・ストークス、エミリー・キャリー、 セバスチャン・クロフト、ラルフ・プロッサー |
悲劇を二度と繰り返さない為に観る映画
今回は第二次世界大戦下におけるユダヤ人迫害の犠牲になった、
アンネ・フランクの物語を描いたアニメーション映画です。
監督は【戦場でワルツを】で世界的な評価を受けたアリ・フォルマン。
今尚世界中で戦争や紛争により市民が迫害され、
難民となっている状況に突き付けらえた強烈な問題提起。
時を超え、多くの人に読み語り継がれる一人の少女の日記が、
どんな意味を持っているのかを深く考えさせる作品です。
第二次世界大戦が多くの人の記憶から薄れる程時間が経っても、
アンネ・フランクの様な境遇の子供達は後を絶ちません。
戦争によって住まいを追われ、家族を失い、命を落とす子供が
今この瞬間にも存在するという事。
この事実から目を逸らさずに当事者としてこの時代に責任を持つ事の
きっかけに成り得る力を持った作品だと思います。
この映画は戦争の陰惨さを主張するだけの作品ではありません。
想像力に恵まれた一人の少女の類まれな美しい空想の世界。
生きる事の切実な美しさと、希望を失わない力強さを描いた作品です。
時を超えた私への手紙
![](https://eigahitotsumami.com/wp-content/uploads/2022/10/467419.jpg)
画像引用:IMDb
聖書の様に世界中で重刷され続けている大ベストセラーの【アンネの日記】
ユダヤ系ドイツ人のアンネ・フランクがナチスの迫害を逃れ、
アムステルダムの隠れ家で2年間にも渡る隠遁生活の間に紡がれた日記です。
この日記は架空の友人・キティと名付けられた人物に向けた、
手紙の形態を取っていました。
好奇心に溢れ聡明な少女だったアンネの紡いだ日記は、
戦争の暗い帳が下りる中、それでも生活を楽しく豊かに表現していました。
日常の機微の細やかな描写が、
暗い現実を吹き飛ばす様な豊かな色彩で縁取られ、
想像の力は、戦争の理不尽な牙を忘れさせてくれる様な
柔らかな質感に溢れています。
この機知に富み、生命力に満ちた文体を紡いだ作家が、
わずか13歳の少女だったとは信じられない様な気がしてしまいます。
時を超え何より私たちの胸を打つのは、
この少女が後に収容所で非業の死を迎える悲劇性では無く、
あの状況下で豊かな感性を持ち、
希望を胸に力強く生きていたという事に他なりません。
この映画もこの日記の本来の魅力を、
現代の子供達に伝え直すという意図を感じます。
戦争の犠牲者、被害者という大雑把なカテゴライズでアンネを語るのでは無く、
時を超えて私たちの心を勇気付ける力を持った存在として、
この日記の存在意義を改めて問う意思を感じます。
空想の親友キティは、
私でもありあなたでもある。
アンネが想像したであろう明るい未来に立つ私達が、
このメッセージを現代においてどう受け止めるのか。
この映画はあらゆる創作物を我々がどう引き受け、
次世代にどの様に引き継ぐのかという命題を突き付けています。
貧乏人のパスタの豊かさ
![](https://eigahitotsumami.com/wp-content/uploads/2022/10/IMG20221002211203-1024x768.jpg)
今日のおつまみは【貧乏人のパスタ】です。
言葉通りシンプルで簡易的なレシピですが、
抜群に旨い驚きのメニューです。
ニンニクを熱したフライパンに薄切り玉葱とベーコンを入れて炒めます。
そこに茹で上げたパスタを入れて、茹で汁と粉チーズで乳化され、
半熟に焼いた目玉焼きを乗せて完成。
黄身を崩し絡めながら食べると絶品です。
お腹もいっぱいになりますし、おつまみにもなります。
贅沢な具材がなくてもシンプルなパスタは旨い。
イタリアでは卵掛けご飯の様にポピュラーなメニューだそうです。
豊かさはその心意気に宿るのですね。
人間の本質は善である
![](https://eigahitotsumami.com/wp-content/uploads/2022/10/image_37798_i62f3d657b4fd5.jpg)
画像引用:IMDb
先の大戦に限らず、人間の業は残酷で愚かです。
【人間の本質は善である】というアンネの言葉を受け止めるには、
余りに不快な歴史を重ねて来ました。
しかし当のアンネが絶望の只中にあった時の言葉の意味を、
改めて考えると想像を絶する意思の力を感じます。
わずか13歳の少女が理不尽な暴力の前に絶望を感じても、
人間の本質は善であると言える事に、信じられない気持ちになります。
思慮深く、周りの人間を子細に観察し日記に残したアンネ。
短く儚い生涯に、大きな夢と希望を持っていたその少女の生き様は、
現代の我々にとって驚くべきバイタリティに映ります。
映画ではアンネの日記に登場する架空の親友・キティが、
現代のアムステルダムにおいてもう既に亡いアンネを探す物語になっています。
時を超えた戦争の無い街にも、形を変えた移民問題があり、
人種や階級格差による差別と排斥が横行しています。
アニメーションだからこそ社会問題に痛烈に踏み込んだ描写が、
印象深く尾を引きます。
イスラエル出身で元兵隊のアリ・フォルマン監督の戦争に対する想いが、
時代を超えたアンネの物語と呼応し、
美しく、力強い作品として新たな世代に語り掛ける。
悲劇を二度と繰り返さない為に観る映画。
アンネの日記は二度と書かれてはいけない日記として、
永遠に語り継がれる作品となりました。
その日記が旅した美しい光景は、
きっとあなたにとっても忘れられないものになると思います。