アニメーション映画

映画【コクリコ坂から】おつまみ【蓮根のツナマヨチーズ焼き】

画像引用:IMDb

この映画はこんな人におススメ!!

●60年代の懐かしい風景が見たい人

●爽やかな学生達の青春が見たい人

●戦争の爪痕を考えたい人

●清廉な若者達の恋が見たい人

タイトルコクリコ坂から
製作国日本
公開日2011年7月16日
上映時間91分
監督宮崎吾朗
出演長澤まさみ、岡田准一、
風間俊介、竹下景子、
風吹ジュン、石田ゆり子
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新しい時代の息吹を感じたい時に観る映画

この作品は1980年に少女漫画雑誌「なかよし」で連載されていた、

漫画を原作とした映画です。

宮崎駿監督が90年代後半に映画化を構想していたのですが、

そのタイミングでの世相とはそぐわないという事で保留になっていた企画だそうです。

2010年代になって、昭和の日本がノスタルジーとして

日本人の心にある種懐かしい原風景として受け入れられる様な兆候を経て、

満を持してアニメ化に踏み切られたという経緯があります。

舞台設定は東京オリンピックの前年、1963年。

この時代の日本は戦後10年以上が経ち、「もはや戦後ではない」と言われた

高度経済成長の真っ只中。

古きが失われ、国中が新しい価値観に向かって進む、

ダイナミックな時代でもありました。

日本人の心に、ある輝かしい時代として記憶されている60年代。

戦争の爪痕から、前を向いて発展に邁進した、

言ってみれば国がポジティブで希望に満ちていた時代という事なのかも知れません。

私の母親は丁度映画の主人公達と同じ団塊の世代で、

舞台となった横浜で育ちました。

この映画をお勧めした所、観てみたらしいのですが、

子供の頃の風景が忠実に描かれていてとても懐かしいと言っていました。

ジブリ作品の魅力の一つでもある背景画の美しさ。

作品のここかしこで登場する60年代の横浜や東京の街並が、

その時代を知らない人達にまでノスタルジーを感じさせるから不思議です。

細部に至るまでリアルに描かれた「絵の力」と、

日本人にとって大事な何かを思い出させてくれるテーマ性。

当時の若き少年・少女達の純愛と苦悩が、

実に爽やかに、そして切々と胸に迫る物語になっています。

遠い夜明け、明日の希望

画像引用:IMDb

高度経済成長と言っても、市井の生活にはまだまだ戦後の爪痕が残っています。

豊かさに向けて一心不乱に働き続けた日本人が、

同時に失ってしまった豊かさも、ここにはあった様に思います。

物語の主人公、松崎海は朝鮮戦争で父親を失い、

祖母の家で下宿人の食事の世話をしながら暮らす高校2年生の少女です。

決して恵まれた境遇に育った訳では無いのですが、

この主人公は学業や家の用事、妹・弟の世話から皆の食事の用意まで、

正に獅子奮迅の活躍。

申し訳無いですが、今の子供達世代には考えられない様な働き者な訳です。

(勿論、わたくしの学生時分も体たらくでした)

海はそれでいて、高校内で学生運動の中心人物だった新聞部の風間俊と出会い、

その学内新聞のガリ切りまで手伝い出します。

もう本当に働き者なのです。そしてそれを誇示するでもなく、

至極当たり前の様にこなす、その姿が古き良き時代の精神を感じたりするのです。

非常に手垢の付いた道徳観念に聞こえるかも知れませんが、

互助の精神、奉仕の姿勢、情けは人の為ならず、弱きを助け強きを挫く。

今では忘れ去られた様な、気持ちの良い清廉な若者達の姿が、

この作品の一つのテーマでもある訳です。

戦争で徹底的に打ちのめされた日本人が、

その遠い夜明けと明日への希望に胸を膨らませていた時代。

その一体感や高揚感を感じる様な作品になっているのです。

根菜の力

今日のおつまみは【蓮根のツナマヨチーズ焼き】です。

身体に良い野菜の代表格である根菜。

今回は皮つきの蓮根を薄切りにしてオーブン皿に並べ、

その上からたっぷりのツナマヨとチーズを振り掛け、

オーブンで焼き色が付くまで。

表面がカリッとしていて、蓮根の歯応えとツナマヨの後を引く味わい。

白ワインのあてにピッタリですし、ご飯のおかずにもなります。

簡単で尚且つ節約メニュー。

是非お試しください!

上を向いて歩こう

画像引用:IMDb

物語は主人公の海と俊の恋が大きな主題になっています。

互いに惹かれ合う2人なのですが、

ここに時代の残酷な運命が圧し掛かるのです。

戦争で亡くなった海の父親が、俊の実の父親でもあり、

2人は腹違いの兄妹であるという展開になるのです。

戦争の混乱で、孤児や遺児が沢山いた時代。

生活の困窮で養子に出されたり、親戚に引き取られたり。

何の罪も無い子供達が、あらゆる辛酸を舐めねばならなかった時代の、

名残がこの物語にも大きく影を落としているのです。

しかし海は自分の置かれた運命を受け入れ、

それでも俊の事を想い続ける事を伝えます。

例え実る事は無くとも、自分の気持ちに正直に生きるという決意です。

誰の事を恨むでも無く、自分の出来る事をし、他人に尽くす事を厭わず、

それでいて自分の信念も曲げない人間としての強さを持った人物なのです。

戦後から復興を果たし、経済成長へと邁進する日本人の、

力強さと忍耐力を体現しているかの様です。

映画では坂本九か歌った「上を向いて歩こう」が度々流れます。

正に戦後の日本人の心の応援歌であったこの曲の、

悲しくとも前を向く姿勢が、この映画の根幹にはあるのです。

新しい時代の息吹を感じたい時に観る映画。

今作の監督、宮崎吾朗は言わずと知れた巨匠・宮崎駿の長男。

監督1作目だった2006年公開【ゲド戦記】では興行的な成功を収めたものの、

作品自体には納得していなかった様です。

偉大過ぎる父親の存在。そのプレッシャー。

実際に製作中の横槍に辟易した監督は夜逃げの様にスタジオから逃亡し、

絵コンテを完成させたそうです。

それ程までの親子の葛藤をも経て完成させた作品は、

吾朗監督にとっても新しい時代の息吹を感じる仕事だったのでは無いでしょうか?

何はともあれこの作品には時代の清廉な精神が描かれています。

2011年の震災を乗り越えて製作されたという意味も大きかったと思います。

「上を向いて歩こう」というメッセージは、

いつの時代でも私達の心を勇気付けてくれるものだと思います。