アニメーション映画

映画【ベルヴィル・ランデブー】おつまみ【ケールのグリーンサラダ】

画像引用:child-film.com

こんにちは!ころっぷです!!

今日の映画は【ベルヴィル・ランデブー】です。

エスプリ満点、フランス発の奇想天外なアニメーション作品です。

この映画はこんな人におススメ!!

●ディズニー以外の海外アニメに興味がある人

●正統派よりもマニアックな作品が好きな人

●独創的な才能を探し求めている人

●フランスの文化に興味がある人

タイトルベルヴィル・ランデブー
製作国フランス、ベルギー、カナダ、イギリス、ラトビア、アメリカ
公開日2004年12月18日
上映時間80分
監督シルヴァン・ショメ
出演モニカ・ヴィエガス、ミシェル・ロバン、

愛する人に何もかも与えたいと思った時に観る映画

今回は初見の驚きが半端ない作品です。

世界観が独特過ぎて、しばらくは頭から離れないんじゃないでしょうか。

物語は決して豊かな暮らしでは無いにしろ、慎ましい生活を送っている、

ある老婆と孫の話。無声映画の様なレトロな技法で描いていきます。

老婆はどこか寂し気な孫にあらゆる物を与えて、元気付けようとします。

テレビ、ピアノ、犬、模型列車、少年はそれでも浮かない顔をしています。

しかしある日、老婆が少年にプレゼントしたのが小さな三輪車。

それが老婆と少年の生活を大きく変えていきます。

この老婆の献身が観ていて心温まるんですよね。

終始、無表情なんですが深い愛情を感じるんです。

自分の持てる全てを、惜しみなく与えるこの老婆の気持ちが、

この作品のテーマの根幹にあるのだと思います。

誇張とリアリティの相反するアニメーションの力

この作品の最大の魅力は「」の力にあります。

脚本も、音楽も、テーマも素晴らしいのですが、その作り手の個性と哲学が

最も如実に表れているのが、「」です。

冒頭の10分で殆どの観客はこの物語の世界にどっぷりとハマってしまいます。

統一感のある色彩と、緻密で細部まで丁寧に描かれた「」の力に圧倒され、

極端にデフォルメされた登場人物や家の様子にも途端に馴染んでしまうのです。

2人が暮らす古ぼけた家。無数に描かれた調度品や、生活雑貨、家具などが、

どんな台詞よりも、多くの事を語っています。

この整然と、情報が視覚的にコンパクトに与えられる事によって、

観客は作品に信頼感を覚え、作品は説得力を持つ事が出来るのです。

漫画とアニメーションの可能性

フランスには「バンド・デシネ」という伝統的な漫画文化があります。

今作のシルヴァン・ショメ監督も、もとは「バンド・デシネ」の出身です。

漫画は一つの「コマ」が連続して描かれる事によってストーリーを説明しますが、

同じように映画は「カット」を繋ぎ合わせて物語を構築します。

特にアニメーションの場合は無から有を生み出すので、一つ一つの「カット」を、

強い必然性と効果を狙って作っていきます。なぜこの「カット」なのかという事が、

実写映画よりも比較的シビアに選択されていると感じるんですよね。

それはアニメーションの方が実写映画よりも優れているという意味では無くて、

むしろアニメーションだからこそ負わなければならないハンデなのかも知れません。

無いものを一から作り出すという事は、そこに存在感や必然性を持たせるのに、

素材の魅力をありのまま映す事を武器に出来る実写映画と比べて、

難しい様な気がするんですよね。

そんな困難なミッションをあっさりとクリアするショメ監督の根底に、

漫画で培った表現力や技術が大いに役立っているのは、想像に難くないですよね。

想像力は体が支えている

今日のおつまみはヘルシーなグリーンサラダです。

サラダを肴にお酒を飲むのは違和感があるかも知れませんが、

このケールのサラダは白ワインによく合います。

ケールは軽く塩・胡椒を振って、たっぷりとオリーブオイルに絡ませます。

上に乗っているホワイト・マッシュルームは火を入れずに生で食べます。

これにクラッシュナッツのチーズ系のドレッシングを掛けて食べるのですが、

ケールの軽い苦みと青臭い風味が、白ワインの酸味と相性が良いんです。

今日はエスプリ満点のフランス産アニメーション作品なので、

ちょっと違った角度のお酒とのマッチング料理を紹介させていただきました。

身体に良いメニューですし、実にシンプルでちょっとお洒落だと思いませんか?

エスプリという気質に学ぶ事

画像引用:child-film.com

フランス人を形容するのにしばしば使われるのが、「エスプリ」という言葉です。

軽妙洒脱で批判精神とユーモアセンスを兼ね備えた気質の事の様です。

これは正にこの映画に捧げるべき言葉の様に感じます。

軽やかなフットワークで展開するストーリーと、インテリアや服装の細部に至るお洒落感。

物質的な富よりも、精神的な充足とミニマムな生活の美点を描いた批判精神。

極端にデフォルメされたキャラクターや、その動きのユーモアセンス。

そこへ家族への惜しみない「愛」のテーマと、クラシック映画へのオマージュを加え、

誰も観た事がない様なエンターテイメントを世界に見せ付け大成功した今作品。

その背景にはフランス人伝統の「エスプリ」精神が確かにあるのかも知れませんね。