アクション映画

映画【ブラックホーク・ダウン】おつまみ【赤海老の香草パン粉焼き】

画像引用:IMDb

この映画はこんな人におススメ!!

●リアルな戦争映画が観たい人

●戦場の臨場感を味わいたい人

●戦争の無意味さを痛感したい人

●人間の本能を体感したい人

タイトルブラックホーク・ダウン
製作国アメリカ
公開日2002年3月30日(日本公開)
上映時間145分
監督リドリー・スコット
出演ジョシュ・ハートネット、ユアン・マクレガー、
エリック・バナ、トム・サイズモア、
サム・シェパード、ウィリアム・フィクナー

戦場の無秩序を体感したい時に観る映画

古今東西、戦争映画は数多く存在します。

それは一体何の為にあるのでしょうか?

反戦を訴える為でしょうか?

サバイバルゲーム好きのミリタリーオタクの為でしょうか?

自国の正義を正当化する為のプロパガンダでしょうか?

それは多分、剥き出しの人間を描くのに特出したジャンルであるからなのだと思います。

戦争と一口に言っても、その種は実に多岐に及びます。

侵略戦争、権力戦争、宗教戦争、民族戦争、領土戦争。

有史以来、戦争が絶えた事は無く、

人間はそもそもが争い無くして生きてはいられない生物なのでは無いでしょうか?

お国の為、家族の為、誇りの為に、

人間は勇猛果敢に命を投げ打ってきました。

石を投げ合い、剣を交えた旧時代の戦でも、

無人探査機や衛星ミサイルを駆使した近代戦争でも、

そこには本質的な混沌・無秩序が存在します。

30年以上前のアフリカの内戦を舞台にしたこの映画の戦争にも、

例に漏れず筆舌に尽くし難い無秩序があった様です。

ハリウッド屈指のヒットメーカーである巨匠リドリー・スコット監督が、

圧倒的な臨場感とリアリティで描き切ったこの戦争映画は、

単なる戦争の愚かさを訴える反戦映画としての立ち位置以上の、

人間の本質的な「戦い」における虚無感を表現した作品だと思います。

そこには「正義」や「悪」では線引き出来ない、

「戦争」の持つ醜さと恐ろしさが満ちている様な気がします。

若者達が散る場所

画像引用:IMDb

映画は1993年のソマリア内戦が舞台です。

干ばつによる飢饉で20万人以上の市民が亡くなる悲惨な状況の中、

互いの覇権を争う民族紛争が勃発。

軍人出身のアイディードが権力を掌握する中、

アメリカを中心とした多国籍軍による平和維持活動が行われます。

そして1993年10月3日。

首都モガディシュにおいてアイディードの側近2人を捕縛する為の作戦が開始されます。

映画のタイトルである【ブラックホーク・ダウン】とは、

ソマリア兵の攻撃で撃墜されたアメリカ軍の汎用ヘリコプター(通称ブラックホーク)が、

墜落の際に無線で緊急事態をコールした言葉に由来しています。

このヘリコプターの撃墜によって、アメリカ軍の特殊部隊約100名と、

首都モガディシュのアイディード陣営の民兵数千人との市街戦に突入してしまうのです。

映画はほぼ全編がこの市街戦のシーンで構成されています。

作戦の失敗から、混乱のままに襲撃されるアメリカの部隊。

周りには武装した民兵と共に、無数の一般市民もいます。

すぐ耳元を銃弾がかすめ飛ぶ中で、撃墜されたヘリコプターのクルーを助け、

更に捕らえた人質達を輸送しながら基地に帰らなければなりません。

困難なミッションの中、絶体絶命の状況に追い込まれるアメリカ部隊。

我々観客もまるで共に戦場にいるかの様な臨場感です。

右も左も分からない異国の土地で、敵だらけの状況で脱出しなければならない。

監督のリドリー・スコットがこだわったのはその圧倒的なリアリティでした。

史実を忠実に描く事も重要ですが、そこにいた人間達がどんな思いに陥っていたのか。

何を見て、何に恐怖を感じたのか。

それを観客に追体験させていくのです。

「戦争」を知るには「戦場」に出る以外に方法はありません。

しかしこの映画には360度全方位、敵に囲われた様な恐怖を、

疑似体験させるリアリティを獲得しているのです。

負傷し、長時間の戦闘で疲弊しきった兵士達の息遣いが、すぐ隣でしているかの様です。

そこで一体何があったのか。それを出来得る限り体験させる事で、

「戦争」の本質に近付けさせる作品になっているのです。

次々と倒れる若いアメリカ兵達とソマリアの民兵達。

それは互いを憎む心がそうさせるのでしょうか?

物事の本質はそう単純で表面上の問題では無いようです。

豪快な一皿

今日のおつまみは【赤海老の香草パン粉焼き】です。

有頭殻付きの赤海老を豪快に包丁で縦に割り、

香草(バジル・オレガノ・パセリなど)とオリーブオイルとパン粉を

混ぜたものを乗せてオーブンで焼き上げます。

今回は隠し味に妻の手作り味噌も少々混ぜました。

ぷりぷりの食感と香ばしい香草パン粉の風味。

白ワインやビールのおつまみにピッタリの簡単お手軽レシピです。

戦争とは虚無だけが支配する徒労である

画像引用:IMDb

両陣営に多大な被害、損害を与えたこの市街戦。

それによって世界は何を得たのでしょうか?

平和がもたらされたのか?或いはソマリアの人々の生活が豊かになったのか?

残念ながら何も変わりませんでした。

作戦の大失敗でアメリカ軍はその後ソマリアからの撤退を余儀なくされました。

一方のアイディード陣営も、ソマリア大統領と自称し統治を開始しようとしたのですが、

実際に支配する事は出来ず、混乱と内戦はその後も長く尾を引き、

テロリズムや暴力による政治不安の状況は変わりませんでした。

多くの国民を餓死させ、戦争に巻き込み、命や財産を奪い続けた「戦争」に、

何かを「変化」させる力は無かったという事です。

これは正に「徒労」。これ以上無い「虚無」です。

政治的な問題、特に民族問題や宗教問題などは、

偏にどちらが「正義」でどちらが「悪」であるという事は言えません。

しかしだからと言って我々に選択する事を拒否する事は出来ません。

選ばなければならないのです。

それでは何を選べばいいのか?

それは常に「戦争」とは逆の選択をすればいいのです。

それで「最悪」の事態は少なくとも避ける事が出来る。

数少ない選択肢はそこに集約するのだと思います。

戦場の無秩序を体感したい時に観る映画。

戦争に白黒をつける事は不可能で、

ただその虚無を描く事で我々に唯一の選択肢を暗に提示する。

「戦場」を追体験させるこの【ブラックホーク・ダウン】という作品には、

絶望の先の僅かな希望として、我々に「選ぶ」事を促しているのだと思います。