画像引用:Warnerbros.com
こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【ダンケルク】です。
天才クリストファー・ノーラン監督が描いた、
全く新しい戦争映画です。
この映画はこんな人におススメ!!
●クリストファー・ノーランの作品が好きな人
●一味違う戦争映画が観たい人
●たまには戦争について考えたいという人
●圧倒的な映像を体感したい人
タイトル | ダンケルク |
製作国 | イギリス、アメリカ、フランス、オランダ |
公開日 | 2017年9月9日(日本公開) |
上映時間 | 106分 |
監督 | クリストファー・ノーラン |
出演 | フィン・ホワイトヘッド、トム・グリン=カーニー、 ジャック・ロウデン、ハリー・スタイルズ、 バリー・コーガン、キリアン・マーフィー、 トム・ハーディ、ケネス・ブラナー |
目的を見失った時に観る映画
今回は天才監督クリストファー・ノーランが描く戦争映画のおススメです。
一筋縄では行かないノーラン作品ですから、勿論ただの戦争映画ではありません。
まず普通でないのは、ほぼ戦わない戦争映画という点。
映画の舞台は第二次世界大戦下のフランス・ダンケルク。
ドイツ軍の猛攻に押され、英仏連合軍はダンケルクの海岸地区に追い詰められています。
街は包囲され、30万人以上の敗戦兵達が決死の脱出の為に船に乗り込もうとしています。
観客は何の説明も無いままに、敗残兵の一人と共に海岸に立たされます。
いつ敵兵の襲撃があるかも分からない状況に、突然放り込まれたわけです。
何せ説明やナレーションや台詞が極端に少ないので、不安でいっぱいにさせられます。
何が何やら分からず混乱したまま、煽り立てられる様に移動を続けるのです。
まるで悪夢の様な光景。その臨場感が本当に恐ろしい。
最初から戦いに負けていて、目的も無く、ただ流される様に逃げ続ける。
無力な一人の兵士に完全に同化した我々は、それでも生きようと足を動かします。
それぞれの時間の流れ方
映画のもう一つの特徴が、三つの異なる視点から時間軸を描いた点です。
一つ目は海岸から船で脱出しようとする陸軍兵達の視点。
これは一週間という時間のタームで描かれています。
命の危険と隣り合わせの、絶体絶命の状況が実にリアルに迫ってきます。
ゆったりとした時間の流れが、その場に居合わせている様な感覚にさせられるのです。
二つ目はイギリスからドーバー海峡を渡り、敗残兵を救う為に駆けつける一般人の視点。
多くの民間船が実際に兵士達の救出に向かったらしいのですが、
この親子がイギリスを出港してダンケルクで救助活動をするまでの一日を描いています。
三つめはイギリス空軍のパイロットがダンケルクの敗残兵脱出の為に、
空から援護する為の作戦を一時間というタームで描いています。
この異なった時間の流れ方で描かれた三つの物語を、巧妙にクロスオーバーさせ描く事で、
戦況を恐ろしいまでにリアルに、そして圧倒的な臨場感を得る事に成功しています。
同じ場所にいても、立場と行動により時間の流れの感じ方が異なってくる。
それは戦争という異常な状況下に置かれた、人間の本質的な性なのかも知れません。
恐怖という感情が時間の流れを鈍感にしたり、使命や勇敢な行為に必死な人間の
時間の感覚があっという間に過ぎていくという事なのかなと思います。
自分の「死」を極限まで近くに感じる状況を、時間の感覚の歪みを使って、
表現する辺りにクリストファー・ノーランの非凡な才能の一環を感じます。
粉いらず
今晩のおつまみは、恒例の妻の創作シリーズです。
これは山芋のすりおろしと卵のみ、粉いらずの一品です。
出汁の効いた生地なので、イメージとしては明石焼きに近いです。
ふんわりとカツオの香りがして、さっぱりとしています。
明太子を混ぜ合わせ、塩気が食欲をそそり、お酒にも良く合います。
遠い国の戦争のニュースには本当に心が痛みますが、
こうして毎日の生活で、幸せを噛みしめていられる事を、
本当にありがたい事だと思います。
皆、日々何かと戦い傷ついたりする事もあるかと思いますが、
食卓の平和は掛け替えの無い時間になっています。
一日も早く、戦争が終わる事を願っています。
何の為に死ぬのか
画像引用:Warnerbros.com
戦争映画の多くは反戦映画です。
戦時中の戦意高揚映画を抜きにすれば、それは当然の事だと思います。
戦争に英雄がいようが、華々しい戦果があろうが、
所詮大量殺人の行為に過ぎません。
国際情勢や、民族紛争や、金銭的利害、或いは自国の防衛であろうと、
戦争行為が是であると思う人は少ないはずです。(多分)
それなら映画で戦争を描く事の意味はどこにあるのでしょうか。
それはきっと無意味な「死」を描いて「生」の意味を問う所にあるのだと思います。
この兵隊達は何の為に死んで行くのかと考えるのと同時に、
私達は何の為に生きていくのかを考えて欲しいのだと思います。
だから戦争映画では人が無意味に死んでいくのです。
この【ダンケルク】でも、ボートで兵士を助けに来た青年が、
その助けた兵士に突き飛ばされて呆気なく死にます。
彼が何の為に死んだのか。答えはありません。ある筈無いのです。
答えの無い問いを、何度も思い出させる為に「死」を描いているのです。
そこには安易なカタルシスも、容易な教訓も存在しません。
この映画は戦場から兵士が帰ってくるという、ただそれだけの映画です。
この徹底的に無意味な行為を、圧倒的な犠牲を払って行うのが戦争です。
この【ダンケルク】という戦争映画は、冷徹なまでにその一点を描いています。
そこにクリストファー・ノーランが描きたかった物語がある様な気がします。
現代の観客に何の為に生きるのかと、回りくどく自問させる為の106分間。
人生の限られた時間を、何に向けて開くのか。
その選択を二度と間違う事の無い様に祈るかの様な、重厚な映像詩でした。