画像引用:IMDb
こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【マンチェスター・バイ・ザ・シー】です。
辛い過去を背負った男の再生の物語。
受け入れ難い現実に、どう向き合っていくのか。
登場人物の心の動きを丁寧に描いた素晴らしい作品です。
この映画はこんな人におススメ!!
●辛い過去を持っている人
●先行きに希望を感じられない人
●現状から逃げ出したい人
●それでも前に進みたい人
タイトル | マンチェスター・バイ・ザ・シー |
製作国 | アメリカ |
公開日 | 2017年5月13日(日本公開) |
上映時間 | 137分 |
監督 | ケネス・ロナーガン |
出演 | ケイシー・アフレック、ミシェル・ウィリアムズ、 カイル・チャンドラー、ルーカス・ヘッジズ |
深い悲しみに心が壊れそうになった時に観る映画
今回の映画は本当に心に重く圧し掛かってくる作品です。
深い悲しみと絶望。
苛立ちと虚無感。
ままならない人生に戸惑い、為す術無く立ち尽くす思い。
主人公のリーの孤独な生活は、
自分の過失による取り返しの付かない過去から逃げ続けるものでした。
人の一生は短いようでいて長くもあり、
日向もあれば日陰もあります。
余りに残酷な人生に、
正面から向き合う力など本来人間は持ち合わせていないのだと思います。
誤魔化したり、嘘を付いたり、虚栄を張ったり。
そうやって必死に時間を稼いでやり過ごす事でしか生きられない時もあります。
それは他人からは観るに堪えない惨めな姿かも知れません。
しかし必死に生きている人間の側に立って、
その姿を丹念に描写する事によって見えてくる希望も映画にはあります。
素の人間の姿が教えてくれる優しさや強さもこの映画にはあります。
間違いを犯さない人間はいませんし、
それを赦せないのもまた人間です。
人生を肯定する事は簡単ではありませんが、
それでも必死で寄り添う事の美しさが今作のテーマであると思います。
必要とされる事の意味
![](https://eigahitotsumami.com/wp-content/uploads/2023/06/ManchesterbytheSea002.jpg)
画像引用:IMDb
この映画の登場人物達は、自分の心を他人に開かない人物達です。
過去の悲しみや、未来の不安に圧し潰されそうな心を、
必死で隠しながら生きている人達だからです。
そうしていないと保っていられない不安定さを抱えています。
自分一人の生活でやっとだった主人公のリーは、
兄の突然の死で16歳の甥パトリックの後見人になります。
一人分の不幸を背負って生きていたリーは、
必要とされる事の戸惑いと、パトリックとの価値観の相違に苛立っていきます。
突然父親を亡くし、急激な変化に対応しなければならなくなったパトリックに対しても、
優しくする事が出来ません。
それはそれまでの彼の考え方に、事態を良くしていこうという前向きな発想が
無かったからだと思います。
自分一人の殻の中であったならそれでも生きる事は出来たのですが、
たった一人の甥の後見人としては、通用しなかったのです。
この物語の優れた点の一つは、この必要とされるという事の意味を問い続ける事で、
人が少しずつ変わっていくという所にあるのだと思います。
人生が人から奪う物は無作為ですが、
与える物もまた意図の無い思いも寄らない物だったりします。
突然、甥の面倒見る羽目になったリーには、
この変化がずっと逃げ続けて来た過去と向き合うキッカケになっていくのです。
夏の定番メニュー
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今日のおつまみは【海老のあんかけニョッキ】です。
皆大好き「カルディ」さんの海老レモンソースをベースに、
妻がアレンジしたさっぱり味のニョッキです。
やや和風テイストのソースが夏野菜やキノコに絡み絶品です。
日々のストレスで心が弱った時は、
まずは何より空腹を満たす事が重要。
更に気の置けない人とリラックスしながらグラスを傾ければまた頑張れます。
自分を赦す事の困難
![](https://eigahitotsumami.com/wp-content/uploads/2023/06/18MANBYSEA-facebookJumbo-1024x535.jpg)
画像引用:IMDb
映画とは少し関係ありませんが、
他人が犯した過ちに対しての、
全方位から断罪する最近の世の風潮を少し考えさせられました。
法律を犯す行為は勿論法律によって裁かれるべきですが、
関係の無い人間達が寄って集ってここぞとばかりに叩く行為に、
我々はもっと慎重になるべきではないでしょうか。
SNSでの誹謗中傷は言わずもがな、
偏見や好奇の目は、自分にもそのまま返ってくるという事を知るべきでしょう。
この映画の主人公のリーは、何よりも自分を赦せずに苦しんでいる人間です。
他者への怒りや、恨みは時の経過と共に薄れていく事もありますが、
自分自身から逃げる事は出来ないので、その苦しみは深刻です。
ここでこの映画の特に優れた視点が際立ってくるのですが、
ステレオタイプのカタルシスで、傷付いた主人公が再生していくのでは無く、
辛い現実は続いていくままに、彼の心の中にもう一人分のスペースを空けておく隙間が
出来た事を示唆してエンドロールを迎える所なのです。
それは言わずもがな甥のパトリックに寄り添う為の隙間。
無理やりこじ開けたのではなく、気が付いたら出来ていたスペースなのです。
一人で人生と対峙していた彼は「赦されない」という視線の中で生きていました。
自分を赦せない人間に人を赦す事は出来ません。
いつの日か、リーが生まれ故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーで
自分の過去の過ちを赦す事が出来るように。
映画の観客は深い余韻の中で、それを自分の事の様に祈っている事でしょう。
深い悲しみに心が壊れそうになった時に観る映画。
逃げる事も、目を背ける事も時には必要です。
いつからだってまた始める事は出来る。
そんな静かな余韻を与えてくれる素晴らしい映画です。