画像引用:IMDB
こんにちは!ころっぷです!!
今日の映画は【ボーダーライン】です。
巨大麻薬組織を巡るメキシコを舞台にしたクライムアクション映画。
徹底したリアリズムで描く、闇社会との戦い。
ハイレベルな映像と演技が、片時も目が離せない迫力の作品を作り上げました。
この映画はこんな人におススメ!!
●迫力の銃撃シーンが観たい人
●非日常の世界を体感したい人
●麻薬社会の闇を垣間見たい人
●善悪のボーダーラインを考えたい人
タイトル | ボーダーライン |
製作国 | アメリカ |
公開日 | 2016年4月9日(日本公開) |
上映時間 | 121分 |
監督 | ドゥニ・ヴィルヌーヴ |
出演 | エミリー・ブラント、ベニチオ・デル・トロ、 ジョシュ・ブローリン、ダニエル・カルーヤ |
善悪の境が分からなくなった時に観る映画
今回はずっしりと重い犯罪映画のおススメです。
メキシコの巨大麻薬組織の捜査をする特別部隊に派遣された、
主人公の女性FBI捜査官ケイト。
彼女は慣れない環境ながらも、持ち前の洞察力と判断力で、
捜査の一翼を担う活躍を見せます。
しかし巨悪を追う特別捜査には違法性があり、
善悪の価値観を大きく揺るがされたケイトは辺境の地で苦悩します。
正義とは何なのか?
悪を滅する為にはどんな手段を取っても良いのか?
犯罪と隣り合わせで生きざるを得ない人々にとって、
善悪のボーダーラインは余りに容易く乗り越えられる線でしかありません。
犯罪多発地域の現実。
犯罪に立ち向かう為に必要不可欠な暴力。
この映画には様々な立場から悪と戦う人間達が登場します。
彼等にはそれぞれ戦う理由があり、
異なる考え方を持ち寄り、共闘しています。
この映画はそんな人間模様を丹念に、
そしてリアルに描いた作品になっています。
罪を憎んで人をも憎む
画像引用:IMDB
ケイトが派遣されたメキシコの都市は、
町全体が麻薬組織の支配下にあり、犯罪と汚職にまみれた場所でした。
誰が敵だかも分からない極限の世界で、
一瞬の気の緩みが命取りになる戦場の様です。
貧しさが人を犯罪に向かわすのか、
犯罪が人を貧しくしてしまうのか。
負の連鎖の結果とも言える犯罪の氾濫は、
現実の世界でも多く見られる光景です。
憎しみの連鎖もまた強大な暴力へと向かいます。
この歯止めの効かない世界の荒廃を前に、
当たり前の正義感を持つ主人公のケイトは茫然と立ち尽くす事になります。
余りに住む世界の違う人々を目の当たりにすると、
自分の価値観の方が間違っているのかも知れないと考えてしまいます。
立場や環境や経験が、人の善悪のボーダーラインを容易く曖昧にしていく様子が、
とてもリアルに描かれていて衝撃的です。
人は人を憎まずに罪を裁く事が可能なのでしょうか?
この作品が付き付ける命題はとても重く、また深いものだと思います。
わんぱくおつまみのボーダーライン
今日のおつまみは【ステーキプレート】です。
限りない食欲もまた、
いとも容易くヘルシーとのボーダーラインを越えてしまいます。
牛ハラミステーキの付け合わせは、
しめじと蓮根のソテー、レモンパセリソーセージ、
人参とプチトマトの酢漬け、ガーリックトーストとポテトフライ。
まさに罪作りな満腹プレート、オールスターです。
スーパーで叩き売られていた去年のボジョレーが最高の味わいになりました。
業を俯瞰する目
画像引用:IMDB
この【ボーダーライン】という映画を観た観客は、
とても不思議な余韻を味わう事になります。
それは物語をマクロの視点で、自分もそこにいるかの様な臨場感と共に体感する衝撃と、
まるで神の視点から世界を俯瞰するかの様な感覚。
その対極した二つの視点から人間の善悪のストーリーを描く事によって、
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は誰も観た事の無い様な静謐でありながら、
荒々しい世界観を作り出しています。
後に【ブレードランナー2049】や【メッセージ】などの作品で
深淵なるSF作品で人間の存在を哲学的に表現した監督の真骨頂とも言うべき手法です。
基本的に主人公は物語の中で観客と共に思考し、右往左往し、到達点に降り立つ。
サディスティックなまでに突き放した視点からストーリーテーリングし、
主人公と観客を崖っぷちまで追い込む事で、
至極のカタストロフィーを最終的に与える語り部なのです。
人間の業を俯瞰した様な鋭い視点を持った演出家は、
SFだろうがクライムサスペンスだろうが関係無く、
観る者の感情を激しく揺さ振る事で唯一無二の映画体験をもたらせる。
そして忘れてはならないのがドゥニ・ヴィルヌーヴ監督と名コンビの
作曲家ヨハン・ヨハンソンの深淵な音楽です。
映画音楽の最高到達点の一人である天才作曲家の残した貴重なスコアを味わうだけでも
十分に価値のある作品と言えるでしょう。
善悪の境が分からなくなった時に観る映画。
映画は目をつぶりたくなる様な陰惨な犯罪が描かれています。
それは現実であり虚構でもあるのですが、
観客一人一人の心に芽生えた善悪のボーダーラインは、
掛け替えの無い財産になり得るリアルです。
衝撃のエンターテイメント作品。
是非ご覚悟を持ってご鑑賞下さい!